特に普段は病気に縁遠い人なら、いざ心の病気が疑われてもどんな病院で診察を受けるか皆目見当がつかないことも多いと思います。心の病かなと思っても、いざ「精神科」や「精神神経科」をと考えると、それらに対する偏見や誤解したイメージなどから躊躇してしまうことも多いと思います。「精神科」と「精神神経科」は基本的には同じものです。どちらかが書いてある場合や、併記してある場合は、うつ病、統合失調症、神経症性障害などのこころの病気を診ている、「精神科」の医療機関と考えて間違いありません。総合病院の中で受診科を探すときにはほとんどが「精神科」や「精神神経科」を目にすること思います。

 ところが街を歩いていると、「精神科」や「精神神経科」よりも「心療内科」との表記を目にすることも多いと思います。「心療内科」は心理的な要因で身体の症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる、いわゆる「心身症」を主な対象としています。・しかし、「心療内科」と看板に書いてあっても、実際には心の病気を診ている医療機関がたくさんあります。ただし、心の病気を全て診るわけではなく、軽い「うつ病」や「神経症性障害」など一部の心の病気しか診ないところもあります。

 職場で社員が元気を失い、うつ病かもしれないと感じたときには、大きな総合病院の「精神科」などを受診するよりも、街の「心療内科」に診てもらうほうが一般的です。心の病の初期段階では、いわゆる精神病を疑うよりも、頭痛がする、眠れない、胃腸がおかしい、動悸・息切れが気になる、などの内科的な症状が気になるケースが多いようです。このような時には内科の検査をしてほしいと言うので色んな検査を繰り返しても、身体的な異常は見つからなかった、などということがよくあります。時には、うつ病の初期段階で、毎日色々な症状が出たり消えたりしますが、このようなケースを不定愁訴と呼ぶこともあります。このような場合も「心療内科」を受診するのが一般的です。しかし、脳の異常や重い「精神病」を疑う場合は、「心療内科」よりは「精神科」や「精神神経科」を受診することがお勧めですね。

 「心療内科」と似たような響きで間違いやすいもので、「神経内科」という科があります。「神経内科」は、パーキンソン病や脳梗塞、手足の麻痺や震えなど、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診る内科です。精神的な病気を主として診ているわけではありません。

 また、病院とクリニックの違いなどについても触れておきたいと思います。入院設備であるベッドの数が19床以下だと医院(診療所・クリニック)で20床以上あれば病院となります。病院として運営していくとなると医師や看護師、薬剤師、深夜の当直などの増員などの制約が厳しくなり、経費が大きくなり採算が合わなくなるため、わざとベッドを19以下にに抑えて医院として運営しているところもあるそうです。ちなみに、ベッドが100床以上だと「総合病院」となります

 心の健康問題で受診する医療機関を考えるうえで、必ずしも大きな総合病院が良いかといえば、そうでもありません。通院のしやすさ、カウンセリング体制の有無、雰囲気の良さなど、自分に合っているかどうかが重要だと思います。